[映画] Felon (2008)
映画を観て、観た映画全てに感想を書くことなど、能力的に見て無理がある。この映画を観て深い感銘は受けたが、私の評価的には感想を書きたい意欲を掻き立てる程の感動はなかった。つまりは、そこまでは感動しなかったが、深い感銘は受けた。
あらすじとしては、3人家族がいて、結婚式の話をしている。主人公である夫は、一人でビジネス(建設業らしきそれに類するもの)を立ち上げ、ビジネスローンが組める程にまでビジネスが軌道に乗り始め、妻にこれで作業員が4、5人雇えて、別のグループを作り、今年はあと3万ドルの収入増が見込める、などと話している。
その夜、侵入者の気配がする。子供は気づかなかったらしいが、子供部屋の窓が開いている。侵入者が玄関から出て行こうとしているところを発見し、侵入者をバットを持って追いかける主人公。侵入者が何か言いながら振り返りジーパンの前ポケットに手を滑り込ませた瞬間、主人公は手に持ったバットを頭へ向けてスイングする。侵入者は死亡する。
警察が来て、侵入者は武器不所持かつ盗んだ財布を返そうとしていたらしいことが分かる。外まで追いかけて攻撃を加ええたことで、殺人の容疑者としてその場で拘束連行され、拘置される。拘置所で国選弁護人に罪を認める取引をすれば、刑が短くて済むと諭され、裁判において罪を認め、最重警備刑務所へ送られる。
その輸送途中で囚人同士の間でいざこざが起き、武器で刺される重体の囚人と、武器を座席の下に隠された主人公という図式の事件が起こる。初日からトラブルに巻き込まれた形で、看守長から犯人を言えと問い詰められるも、知らないで通す主人公。別の刑務所から囚人たちを扇動させて暴動を起こしてばかりのセルメイトが移送されてくる。
この刑務所生活での唯一の地獄は、一日一時間の中庭での運動兼休憩時間だ。その他は、厳重に警備されていて、チェックが細かく厳しく何段階にも亘る項目があり、この映画をミニマルな印象にしてもいる。壁に囲まれた監視の厳しい中庭で何が行われているかといえば、看守による賭けごとで、囚人同士を毎回一対一で戦わせている。
戦いの終わりつまり休憩時間の終了には看守が警告してコルクらしき銃弾で二人を撃つ。気分次第で、実弾を使う場面もある。複数人対一人のリンチに発展すれば、催涙缶を投げ込み鎮圧する。
何度も呼び出されるも先の事件を何も知らないで通して仲間の信頼を得、刑務所内の保護者をバックに付け、筋力を付け、ここでのファイト三昧の生活に慣れた頃、先の事件の囚人が亡くなり、看守長の追求が厳しくなるが、泣いて懇願しながらも結局何も知らないで通す。
看守長は、別の囚人の密告者を見つけ、主人公は事後従犯及び看守長の証言でギャングの一員でこれは組織犯罪であるとして告訴され、合計9年の刑が科せられる。あと4ヶ月で出られる所の出来事で、子供は居れど、ビジネスが安定するまで結婚を先延ばしにしていたせいで形式に縛られていない妻も、資金的にも精神的にも参っていて、手紙で別れを一方的に告げられる。
主人公は荒れる。中庭での一連の出来事は、主人公も鑑賞者も気づいていないが事前に看守とも取り決めがあるタイマン勝負のようで、不必要な相手を気絶するまで殴りつける。これがきっかけで主人公は不味い立場に追い込まれる。
大筋ではこんな物語の映画。この映画の味噌は、よく質問する新入りである主人公ウェイド・ポーター(スティーブン・ドーフ)と囚人の間でカリスマ性を持っている同じ房の同居人のジョン・スミス(ヴァル・キルマー)の生き残る為の自分が学んだ教訓を自分に語り掛けるようにぼそぼそと伝授する対話シーンの数々。
だが、ジョン・スミスも生き残る為には必死のようで、主人公にアドヴァイスをするも、房の外では目を合わせたり話し掛けたりしないでくれ、とのルールを言い渡している。不用意な仲間を作ると自分の身が危険に晒されるからだ。
とにかく、主人公とジョンとの交流は緊張感のあるやり取りながらも、ハートフルな面もある。だが、中年のどっしりとした風格のスミス(ヴァル・キルマー)は、肝が据わっていて、主人公に近い感覚の私たち鑑賞者には、ただただ底深く恐い人物という印象のみを与え続ける。