最近で一番興奮したドラマの始まり方。
天才数学者の事件ファイルの作品の作りとして、殺人事件の起こる手前の出来事から殺人が起こり、他人が死体を発見する小話から始まる。その際、流行歌がBGMで流れている。冒頭の小話には、主要登場人物が登場しない。冒頭のつかみの小話なのに、別のドラマを観ているような変な印象を視聴者に与える心配はしないのだろうか?と、いつも疑問に思う。私がアメリカ人だったら、短気を起こしてチャンネルを変えかねない。
House M.D.の方も、これと同じスタイルを採っていて、冒頭のオープニングまでの小エピソードはいらないという感想しか湧いてこない。蛇足感が満ち溢れえている。しかも、これから観ようという気分を激しく削がれるスタイルで、特にHouse M.D.について思う。しかし、天才数学者の事件ファイルの方は、洒落た感じがある分、救いがある。キャッチーな天才数学者の事件ファイルの雰囲気に合う流行歌を流して、物語がこれから始まりますよ的雰囲気を盛り上げるのに一役買っている。
NUMBERS 天才数学者の事件ファイル Season3 第06話の冒頭で、この曲が掛かる。神の視点で、神のBGMとして掛かると言った方が正確なのかもしれない。鑑賞者のBGMとしての音楽が流れている訳だが、実際に音楽が流れているような場所ではない場所が舞台だし、この小話の主人公である被害者がiPodを聴いているようには見えない。被害者が最近好きな曲を脳内で流しっぱなしにしている、という体なのだろう。
天才数学者の事件ファイルのスタイルは、冒頭の小ストーリーで事件が起こる。そこから、本編として、天才数学者であるチャーリー・エプス教授の兄であるドン・エプスが冒頭の殺人事件の現場に駆けつける。チャーリーの兄はFBI捜査官のボスの立場で、部下が3名いる。その殺人事件に対して、チャーリーの兄は弟に捜査協力を要請する。それがいつもの話の流れで、一話完結型のドラマだ。
NUMBERS Season3 第06話の冒頭の話は、MTV世代に受けるように作られている。ミュージッククリップを観るような冒頭に作られている。とにかく、上記の曲が流れる回。他で聴いて知っていたのだが、私は日本放送版を観ているので、私がこの曲を知ってタイムラグがある。世間でこの曲が流行っているころに、この曲がこの回で採用されたのだろうと予測できる。MTVでパワープレイされている同時期に、ドラマの冒頭としてMTVと同じ形式で天才数学者の事件ファイルでも馴染みの曲が違う映像で流れてくる。この同期性に興奮しない者はいないと思う。
とにかく、この回は、ギークが競馬をしているシーンから始まる。販売員と世間話をしながら馬券を買って、競馬場のトラックが見える場所まで歩き、ゲームの始まりから終わりまで観戦する。片手には自分で解析したらしき勝ち馬予想を計算した手帳、もう一方の手には馬券。とにかく、このギークに似合った選曲がなされていて、かつ競馬場にも、観客の競馬を観戦するゲームの成り行きに沿った感情の流れにも完璧にマッチしている。そこへその販売員とつながっていたマフィアへの密告により影で暗躍するマフィアの流れも加わる。最高の出会い、最高の選曲だと私は思う。この映像には美しさを感じた。最近で一番興奮したドラマの始まり方だ。