Lostに見る、村の発生が国家になるまで。
海外ドラマのLostには、本当に感心する。Season4 第02話を観終わったところだ。
旅客機がコントロールを失い、空中で二つへと胴体分断しつつ、無人島の浜辺へ墜落。その二つは、島の両端に辿り着く。一方は、外科医のジャック率いる、緊急事態に長けた職業に就いている人たちのグループ。
その中には、詐欺師という自分が選択した職業に思うところのあるジェームズや身柄護送中の、長年の逃亡生活の末に捕まった父親殺しのケイトなど含まれていて、才能豊かな人材がカラフルに揃っている。
筆者自身ひきこもりニートとして注目すべきは、移民三世のアメリカ人ヒューゴだ。ロック好きでアメコミ好き。チョコバーなどのお菓子中毒。統合失調症で想像上の友達がいる。そのせいで、精神病院に入院していたこともある。入院中、特定数字の羅列を繰り返すだけの患者と知り合う。
退院後、ファストフード店でアルバイトしたお金で、その数字でロトリーを買う。数字が的中し、ビリオネアになる。店長に小言を言われ、その店を辞める。このヒューゴという人物が厄介で、この島で起こる出来事が本物なのか、想像上のものなのか、視聴者の混乱を誘う。
が、イラク共和国の兵士であるサイードが、混乱した情報を拷問などの手段を用いつつも、確かなものに変えていく。つまり、拷問捜査官としての経験から、極限状態における情報に対する耐性が備わっている。
ジョン・ロックという人物がこのグループにいる。明らかに、製作者側の意図として、アメリカ独立宣言の際に参考にされた思想家のJohn Lockeを意識させるキャラクターである。このおっさんがどうしようもなくなさけないおやじで、何をしても裏目裏目の人物だ。見ようによっては、スター・トレック・TNGのジャン=リュック・ピカード艦長にも見えるように、外見的にキャラ設定されているように思える。
政治的決断の場からプリーストを締め出した、誤った決断を下すシーンもある。しかし、グループ内で、医者(医療技術の供給元であることと、緊急事態に強い職業であるが故の決断の公正さ)が信頼の絆で築いた村社会に馴染まない人たちには、ジョン・ロックは何かと頼りにされている。
このような色々なキャラクターたちによって構成されたコミュニティが、身内の嫌われ者という敵、島の中に潜む敵、島の外からくる敵、を経て、コミュニティの発生から村社会から国家へと移行する。人々が寄り添うコミュニティ自体の変化が見て取れる。
もう一つのグループを書かなかったが、警察官や歯科医やアフリカのプリーストや精神科医といった構成で、警察官とマッチョなプリーストが統治するコミュニティで、その権力に対して精神科医の目が光っている。警察官のグループを纏める視線がキツイ。社会主義共産主義的な警察が跋扈する社会やアフリカ的な市民軍が統治する社会、的な世界の別の側面が見て取れる。