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ターザンの縊死

もしも、森にお守り札が下がっていたら、一礼し、洩れなく背筋が震えるだろう。牛らしく将来を憂い、レンガで造られたジャンガっぽいサイロの隣に建っている牛舎で従者を獣医師に診せ、その背中に梨を投げつけながらもなしのつぶてを心が潰れる思いで待ち続ける祭り。

目頭にメジロのとまっている、他力本願のターザン。セザンヌと先だっては、背比べしたことのあるターザンだ。他山の石だか路傍の石だか不屈の精神だかをそのターザンはお持ちらしい。そんな話を人づてにちらと噂で聞いた。

マラケシュでマラカスを買う。マラケシュで消しゴムも買う。お土産として。旅行の記念として。それぞれ2つずつ買い求める。贈り物のお土産用と自分の記憶を補強する記念用と。買い物を終えたセザンヌはマラケシュの街角のオープンカフェでコーヒーが入ったカップを傾けている。もう片方の手には読みかけの冒険小説『ターザン』のページの途中を親指で押さえつつ、テーブルに肘を乗せて持っている。

ところで、セザンヌは3本の腕を持った人型生物である。一方の手ではコーヒーカップを傾け、一方の手にはページを開き親指で押さえた本を顔と同じ高さの位置に掲げている。3本目の手は「後期印象派」をその手でしかと掴もうと追い求め、虚空をゆらゆらしている。

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