やもり、グレーで乾いた肌の質感が美しい、黒いつぶらな瞳のあいつ。
窓の開閉時に、やもりが二枚のガラス窓のサッシに嵌っていたようで、『キー』と切ない声で鳴いて自己主張したので、やもりに気づいた。窓が開かなくて、「ゴミでも詰まったかな」と思った。が、かつて力任せに閉めようとして、大きなクモを潰してしまった経験があるので、毎回慎重に開け閉めするようにしている。気を使うし、緊張する日常生活の一場面だ。窓の外に何度も逃がしたが、多分何匹も家に住んでいるのだろう。
『キー』という切ない鳴き声が耳から離れない。怪我をさせていなければよいが……。前にも同じことがあった。前回は、窓を閉める時の動く両のサッシの間から、ゴムのような弾力を感じた。ゴムのように動くサッシの間から、勢いよく跳ねて跳び逃れて(もしくは、自力でなく両のサッシの間に弾かれて飛んで)、存在感が恐かったし、「ダメージを与えてしまったのではないだろうか?」と加害者的も恐かった。
怪我はしていなかった。動き回る間に、よく顔や身体を目で観察できた。新聞紙で捕まえて、外へ逃がした。捕まえる途中で、手の甲を這う瞬間もあり、これも恐かった。手袋でもして捕まえた方が早かったかもしれない。動きが鈍めな動物だ。前回も、言語化すると『キーキー』か『キューキュー』と何度も鳴いた。もっと小さなサイズの『やもり』もよく見かける。どこを開閉するにしろ、開閉に気を使う住居に住んで生活している。